もっともきゅもきゅしたいんだけど


雨の日曜日を読書三昧で過ごす幸福。
図書館さんありがとう。
でも太るわ。


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読了本。


伊坂幸太郎『死神の精度』文藝春秋


連作短編…と言い切れない辺りがやっぱり伊坂。
恋愛譚、本格ミステリロードムービー風といった
さまざまな物語が、人間の作り出す「ミュージック」を
愛する死神・千葉の目を通して描かれる。
死神は、人の死を知っている。死神は、肩入れしない。
ここポイント。
死神は肩入れしないから、割と投げっぱなし度数が高い。
死ぬのに。
そんな物語。


伊坂特有の「ちょっとニヤリとさせられる」記述もある。
でも伊坂好きには、「それは田中じゃないのかー!!」と
叫ぶ箇所も。


方波見大志『削除ボーイズ0326』ポプラ社


第1回ポプラ社小説大賞受賞作・賞金2000万
…って、ずっと言われるんだろうなぁ。でも2000万だもん、
仕方ないだろ。
発想自体はあまり目新しくはない。それを「意外な展開」
にもっていこうとする心意気は感じる。でもやっぱり
文章力、というよりはプレゼンテーションの脇がちょっと甘い。
小学生男子を主役に据えている時点で、確かに世界の描き方に
限界は出やすいだろうとは思うけれど…もう2回くらい醸せるのでは。
読む価値がない、ということではない。
同時に借りた某第一線プロ作家の作品は、途中で投げ出してしまった
けれど、これは最後まで読めたし。


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いや、もう文章力とかが基礎力とかがしっかりしている作品も
いいんだけれど、もっとこう、もきゅもきゅしたいの最近。
作者の情熱が力技になってねじ伏せられる感じの、
こう「お前のパッションに揺さぶられたい!」みたいな。
只今の私のやさぐれっぷりに『図書館戦争』のシリーズが
エライ角度で食い込んできたので、頓にそう思う。
ああ、でも『図書館戦争』のシリーズは、作者の基礎力に対して
いいバランスでウワモノが乗っかっているように思う。
やっぱりある程度はしっかりしていないと没頭できないしな。
がっつりと「わしはこれが書きたいんじゃー」という荒削りの
情熱が伝わってくる作品募集。流石の巧者と唸らせてくれる
作品も募集。つーか、面白い小説募集。


現在読書中。
東野圭吾容疑者Xの献身文藝春秋
これは後者の巧者タイプかな。うまいこと言ったとか思って
ごめんなさい。でも「これが書きたい」という情熱とも
かけ離れてはいないし。ああ、情熱に技術が伴う人が
巧者なのか。