あんたそれは卑怯だわ


読了本。
有川浩図書館戦争』/『図書館内乱』メディアワークス


うわーもう私の中の女の子ゲージ、マックス振り切れだわ!!


と、心の中でずっとわきゃわきゃ悶えに悶えて
しかし人前で読書をする身(電車で読むから)、
ぐっと表情を殺し続けたこの一品。
やばいわ、あんたこれは卑怯だわ、作者絶対女だわ!
と思って調べたら、本当に作者は女性でした。


いや、だってさ。愛想の悪い厳しい上官がさ、
頭をくしゃってしたり、泣きたいときには黙って
肩を貸してくれたり、ピンチには助けに来てくれるわ
いざってときにはいきなり下の名前呼んだりするわ
仕事にプライド持ってるわ有能だわ頼りになるわじゃ、
あんた、それはもう卑怯だわ。
若干過保護に過ぎるけれど、それもまた「自分、
不器用ですから」の典型だと思えば妥協もできる。
いや、ここで妥協なんて大人の分別出したくないの!
「自分、不器用ですから」の典型、これひとつで
オッケー!


凄かった。もきゅーってなった。私の中の思春期の女の子が。
帰りの夜道でどうしても抑え切れなくて、手をばたばた
させながら歩いてしまった。後ろから見たらペンギン。
誰もいなかった筈だけれど、もしいたら怖いもん見せて
ごめんなさい。


これは一応、ライトノベルというものに分類されるのかな。
だからというわけではないだろうけれど、各キャラが
はっきりと分かりやすい形で立っている。そのキャラが
ある種ステレオタイプなところには、物足りなさがないとは
言い切れないけれど、この世界では過不足なく配置されて
いて、安心感を生み出せているとも言える。


それに、この世界の基礎となる設定が面白い。
公序良俗に反したり有害である表現を取り締まる「メディア良化法」
が施行される日本。その公的執行組織に対抗する為に、
図書館は武装化組織「図書隊」を結成する。彼らが掲げるのが、
図書館法の理念。


1.図書館は資料収集の自由を有する
2.図書館は資料提供の自由を有する
3.図書館は利用者の秘密を守る
4.図書館はすべての検閲に反対する
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。


これは創作ではなくて、本当に日本図書館協会の言う
図書館の自由に関する宣言」なんですね。
このような基礎のもとで描かれる世界は、決して現代日本
無関係ではなくて、それが薄ら寒い。また、このような
社会情勢以外にも、家族との関係や女同士の社会での身の振り方
の書き方が、もう作者絶対女だわ!(いや、実際に女性なんですけれども)
そこまでがっつり地盤を固めて、乗っけてあるのがもう


私の中の女の子がむきょーって。
羨ましいとか教官素敵とかかっこいい!とかじゃなくて、
もうむきょーって。中学生当時くらいの女の子ゲージが
振り切れてんだよ、それ以外に表現できないんだよ!


久しぶりに悶えました。